ホエイプロテイン
ホエイプロテインの作用 実は、ホエイプロテインにはグレリンを減らす作用が認められている。しかも、それだけではない。前述の満腹ホルモンであるCCKを分泌させたり、満腹シグナルを送るペプチドのPYYを増やしたりする作用もあるといわれているのだ(※2, ※3)。実際に大豆プロテインやカゼインと比較した研究でも、ホエイプロテインが最も空腹感を抑える作用が強かったことがわかっている(※4)。 また近年になって発見されたインクレチンと呼ばれる消化管ホルモンがある。その一つ、「GLP-1」には、インスリンの働きを高める作用があるとされている。そのため糖尿病の治療に使われることもあるのだが、糖尿病ではない人がGLP-1製剤を使った研究では、9割の患者に平均で8.4kgの体重減少が見られた(※5)。これは、GLP-1に満腹感を長持ちさせ、食欲を減らす作用があるからとされている。GLP-1は求心性迷走神経を活性化する作用があり(※6)、CCKやPYY、グレリンのシグナルを脳に伝えることを助けてくれるのだ。 実際、朝食前に50gのホエイプロテインを飲んだところ、インスリンの反応が高まり、GLP-1の分泌が増えたという報告がある(※7)。 このように、ホエイプロテインを食前に飲めば食欲を減らすことができる。これはダイエットしたい時の武器として、大いに使えるだろう。朝食代わりにホエイプロテインを飲んだとしても、もちろん問題ない。 ■トレーニング前のホエイプロテイン だが、バルクアップしたい時にはどうすればいいのだろう。食欲が低下してロクに食べられないようでは、バルクアップできなくなってしまう。ただし、食欲が低くても問題のないタイミングがある。トレーニング中だ。つまりトレーニング前にホエイプロテインを飲むならば、バルクアップの妨げになることはない。 またトレーニングを開始すると、すぐに筋肉のタンパク合成が高まる。つまりトレーニングを開始した時点で、血中アミノ酸レベルを高めておく必要があるのだ。トレーニング中に血中アミノ酸レベルが低いと、問題が起こる。トレーニングで刺激を与えた部位の筋肉を合成するためにアミノ酸が必要となるのだが、血中アミノ酸レベルが低いと、他の筋肉を分解してアミノ酸を取り出し、血中アミノ酸レベルを高めようとする働きが起こってしまうのだ。 例えば、脚のトレーニングを始めたとしよう。この時、脚の筋タンパクを合成するアミノ酸が必要となる。その際、そのアミノ酸を肩や腕などの筋肉を分解して取り出そうとしてしまう、ということだ。そのため、トレーニングの70分ほど前にプロテインを飲むようにしたい。そうすれば、血中アミノ酸レベルが最大の状態でトレーニングに臨むことができる。 もちろん食欲の問題もなく、筋タンパク合成も高まるし、他の筋肉を分解させずに済むという、一石三鳥の効果を得ることができるわけだ。
それでは、また。
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